【産前産後のママ必見】「腰が痛い」「足のサイズが変わった」はなぜ?体の変化とケアのヒント

妊娠中にお腹が大きくなるにつれて、「腰が痛くて立っているのがつらい」「以前の靴がきつく感じる」「何もないところでつまずきそうになる」といった経験はありませんか?
また無事に出産を終えた後も、「体型がなかなか戻らない」「膝や股関節に違和感が残っている」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

「運動不足だから仕方がない」「産後はこういうもの」と一人で我慢してしまうママも多いですが、実はこれらの不調には医学的に明確な理由があります。妊娠中から産後にかけて、女性の体は赤ちゃんを育て守るために、ホルモンバランスや骨格構造を劇的に変化させているからです。

今回は妊娠・産後の筋骨格系ヘルスケアの専門書『Musculoskeletal Health in Pregnancy and Postpartum』の第1章をもとに、あなたの体の中で起きている「適応のメカニズム」と、それを踏まえた日常生活でのヒントをわかりやすく解説します。

体の仕組みを知ることは、不安を解消し、ご自身をいたわるための第一歩です。ぜひ最後までお読みください。

研究が教える、妊娠中・産後の体の変化 4つのポイント

専門家による研究では、妊娠中から産後にかけて女性の体には想像以上にダイナミックな変化が起こることが報告されています。これらは決してネガティブなものではなく、変化する環境に適応するための体の戦略でもあります。

1. 「反り腰」はバランスを保つための必死の戦略

妊娠が進むとお腹(子宮)が大きくなり、体の重心が前に移動します。そのままでは前に倒れてしまうため、体は無意識のうちに背骨のカーブを強め、**「腰を反らせる(腰椎前湾の増強)」**ことでバランスを取ろうとします。

研究によると、妊娠中の腰痛の多くは、この姿勢の変化によって背中の筋肉が常に緊張し続けることや、お腹の筋肉が引き伸ばされて支える力が弱まることが関係していると考えられています。つまり、腰の痛みは、重力に逆らって姿勢を維持しようとする「ママの頑張りの証」とも言えるのです。

2. 「足のサイズ」が変わる?土踏まずの変化と膝への影響

「産後に靴のサイズが変わった」という話を聞いたことはありませんか? 実はこれ、気のせいではない可能性が高いのです。 研究では、妊娠中に分泌されるホルモンの影響で靭帯(じんたい)が緩むことや、体重増加の影響で、足のアーチ(土踏まず)が低下し、足の長さや幅が広がることがあると報告されています。

さらに重要なのは、この足の変化が**「膝」にも影響を与える**という点です。足のアーチが潰れて内側に倒れ込む(過回内)と、連動してスネの骨が内側にねじれ、膝への負担が増加する可能性があります。 特に初めての妊娠ではこの変化が大きく出る傾向があり、産後も足の形状変化が一部残るケースがあることが報告されています。

3. 腹筋は「伸びて弱くなる」状態が続く

お腹の真ん中にある「腹直筋」は、大きくなる子宮に合わせて引き伸ばされます。場合によっては筋肉が左右に離れてしまう「腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)」という状態になることもあります。

ここで知っておきたいのは、「出産しても筋肉がすぐに元の強さに戻るわけではない」という点です。 研究によると、産後8週間の時点でも、お腹の筋肉の力や持久力が十分に回復していないことがあると報告されています。そのため、産後すぐに無理な腹筋運動を行うことは、かえって腰や骨盤への負担になる可能性があります。

4. 「ペンギン歩き」と転倒リスク

妊娠後期になると、歩幅が広くなり、体を左右に揺らすような歩き方(いわゆるペンギン歩き)になることがあります。これは不安定になった骨盤を安定させ、バランスを保つための適応だと考えられています。

しかし、重心の変化や足元の見えにくさも相まって、バランス能力が低下しやすく、妊娠中の約25%の方が転倒を経験するというデータもあります。特に階段や滑りやすい場所では注意が必要です。

つまり、どういうこと? 日常生活で意識したいこと

これらの医学的な知見は、私たちの日常生活にどう活かせるのでしょうか。具体的なアドバイスとして、以下の3点を意識してみましょう。

① 「痛み」を我慢せず、早めにケアを

論文の著者らは、妊娠中や産後の不調を「しょうがないもの」として放置する「良性の無視」を避けるべきだと提言しています。
腰痛や骨盤の痛みは、体が急激な変化に耐えているサインです。我慢しすぎると無意識に姿勢が崩れ、他の関節に負担がかかることもあります。「いつか治る」と思わず、専門家に相談して筋肉の緊張を和らげたり、正しい姿勢のアドバイスを受けたりすることが、将来的な健康維持につながります。

② 靴選びの活用

足のアーチが低下して「扁平足」気味になると、膝や腰への負担が増えることが研究で示されています。
「以前の靴がきつい」と感じたら、無理に履き続けず、現在の足の形に合った靴を選び直すことが大切です。足元の崩れを防ぎ、膝や骨盤への連鎖的な負担を軽減できる可能性があります。

③ 起き上がり方と産後の運動

お腹の筋肉が伸びている時期は、仰向けから勢いよく起き上がる動作は避けましょう。体を横に向けてから手をついて起き上がる「ログロール(丸太のように転がる)」動作が推奨されています。 また産後の運動は、激しい筋トレよりもまずは呼吸に合わせてお腹を優しく動かすようなリハビリから始めることが、回復への近道と言えるでしょう。

まとめ:焦らず、専門家と共にケアを続けましょう

今回の論文からわかることは、「妊娠・産後の体は、赤ちゃんを守るために劇的に変化し、その影響は産後もしばらく続く」という事実です。

  • 姿勢の変化: 重心の移動により、腰や背中に大きな負担がかかっています。
  • 足の変化: 土踏まずが下がり、足や膝のトラブルの原因になることがあります。
  • 回復のペース: 産後すぐに全てが元通りになるわけではなく、丁寧なケアが必要です。

もし腰痛が続く、歩きにくい、骨盤周りに違和感があるといった悩みがあれば、それはあなたの体が「ケアしてほしい」とサインを出しているのかもしれません。 専門家は筋肉や骨格のバランスを整え、今のあなたの体に合った無理のないケア方法を提案することができます。

痛みや違和感を「ママになったから当たり前」と思わず、どうぞ専門家に頼ってください。あなたが笑顔で育児を楽しめるよう日々の生活を支えてくれるでしょう。


【参考文献】 Segal N. A., & Chu S. R. (2015). “Chapter 1: Musculoskeletal Anatomic, Gait, and Balance Changes in Pregnancy and Risk for Falls”. In Musculoskeletal Health in Pregnancy and Postpartum. Springer. DOI: 10.1007/978-3-319-14319-4_1

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