膝の痛みの原因は「足の形(O脚)」だけじゃない?歩くときの“揺れ”が痛みに与える影響とは

「歩き始めに膝が痛む」「最近、O脚が進んできた気がする……」といったお悩みはありませんか?膝の痛みがあると、お出かけや散歩も億劫になってしまいますよね。

実は最近の研究によって、膝の痛みには単なる「足の形(O脚)」だけでなく、「歩いている時の膝の動き」が大きく関係していることがわかってきました 。

今回は2015年に発表された日本人を対象とした研究(飯島氏ら)をもとに、膝の痛みと上手につきあい、健やかに歩き続けるためのヒントをやさしく解説します。ご自身やご家族の歩き方を思い浮かべながら、ぜひ最後まで読んでみてください。

① 「見た目の形」と「歩き方のクセ」の組み合わせ

膝の状態を考えるとき、この研究では「2つのポイント」に注目しています 。

  • 見た目の形(静的なO脚): 立っている時に膝の間が開いている状態のことです 。
  • 歩き方のクセ(動的な揺れ): 歩いて足が地面に着く瞬間に、膝が外側に「ガクッ」と揺れる動きのことです。専門的には「内反スラスト」と呼びます 。

研究では、この2つの組み合わせによって、膝の状態を4つのタイプに分類しました。形が真っ直ぐでも歩くと揺れる人、形はO脚でも揺れない人など、人によってタイプはさまざまです。

② 「形」と「揺れ」が重なると、痛みのリスクが17倍に?

この研究で最も注目すべきは、痛みの出やすさの違いです。

266人の日本人を対象に調査した結果、見た目が真っ直ぐで揺れもない人と比べて、「見た目がO脚」で、かつ「歩くときに膝が外側に揺れる(スラスト)」の両方がある人は、歩行時の痛みを感じる可能性が約17倍も高かったことが示されました 。

また見た目は真っ直ぐでも、歩くときに膝が揺れるクセがあるだけで、痛みのリスクは約3.3倍になることもわかっています。つまり痛みの原因は「形が悪いから」だけではなく、「膝への負担がかかる歩き方」にも潜んでいる可能性があるのです。

③ なぜ「膝の揺れ」が痛みにつながるの?

なぜ歩くときの膝の揺れ(スラスト)が、それほど影響するのでしょうか。

膝が外側にガクッと揺れるとき、膝の内側には瞬間的にとても大きな負担がかかります 。この強い負担が繰り返されることで関節の軟骨が傷つきやすくなり、痛みを引き起こすきっかけになると考えられています 。

興味深いことに、この研究では「年齢」や「性別」よりも、この「歩き方の揺れ」の方が、痛みと強く関連していることが示唆されました 。いつまでも自分の足で歩くためには、形を整えることと同じくらい、膝が揺れないスムーズな歩き方を身につけることが大切かもしれません 。

④ 体重を減らすだけで解決しない場合も

膝の痛みというと「まずはダイエット」と思われがちですが、この研究結果は少し異なる視点を与えてくれます。

調査対象となった日本人の多くは、それほど肥満ではありませんでした。そして痛みと最も強く関係していたのは、やはり「膝の揺れ」を伴うタイプだったのです 。

つまり、どういうこと?

この研究の内容をまとめると、以下のようになります。

  • 膝の痛みは、見た目の「O脚」だけでなく、歩くときの「膝の外側への揺れ」が重なったときに特に強くなりやすい 。
  • たとえ脚の形が真っ直ぐに見えても、歩き方のクセ(揺れ)があるだけで痛みにつながるリスクがある 。
  • 痛みを和らげるためには、ただ安静にしたり体重を落としたりするだけでなく、「膝の揺れ」を抑えるような対策が効果的である可能性がある 。

まとめと提案

膝の痛みがあると「もう年だから」「形が曲がっているから仕方ない」と諦めてしまいがちですが、決してそんなことはありません。

今回の研究でわかったように、歩き方のクセ(揺れ)に注目し、それをサポートするような膝を安定させるためのトレーニングなど、一人ひとりのタイプに合わせた対策を立てることで、快適な毎日を取り戻せる可能性があります 。

「最近、膝が外側に逃げるような気がする」「歩くと痛むけれど、どうすればいいかわからない」という方は、一人で悩まずに、まずは歩行や姿勢の専門家に相談してみてください。

あなたの今の状態を客観的にチェックしてもらい、未来の歩行を守るための第一歩を一緒に踏み出しましょう。

【参考論文】 Iijima H Fukutani N Aoyama T et al. Clinical Phenotype Classifications Based on Static Varus Alignment and Varus Thrust in Japanese Patients With Medial Knee Osteoarthritis. Arthritis & Rheumatology. 2015;67(9):2354-2362.

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