膝の内側が痛む人は要注意|変形性膝関節症と「鵞足の痛み」が示す転倒リスクのサイン

「階段を降りる時に膝の内側がピリッと痛む」「立ち上がる時に膝の少し下が痛い」といったお悩みはありませんか?

膝の痛みがあると「年のせいだから」「変形性膝関節症(関節の軟骨がすり減る病気)だから仕方ない」と諦めてしまいがちです。しかし最近の研究では、膝そのものの痛みとは別に**「鵞足(がそく)」**と呼ばれる膝の内側少し下の部分の痛みが、歩き方や転倒のリスクに大きく関わっていることがわかってきました。

今回は専門的な論文の内容をわかりやすくひも解きながら、痛みの連鎖を断ち切るためのヒントをお伝えします。

論文からわかった!膝の痛みと転倒の意外な関係

最近の研究(Wangら, 2025)によると、変形性膝関節症を抱える方にとって、膝の内側にある「鵞足」の痛みは、単なる痛み以上のサインであることが示されています。

1. 膝関節症の方の「5人に1人」が鵞足の痛みを併発している

変形性膝関節症の患者さんのうち、約20%が鵞足部の痛みや炎症(鵞足炎)を抱えていると推定されています。つまり膝の関節自体の痛みと、その周りの筋肉や腱の痛みはセットで起こりやすいのです。

2. 痛みと変形が「双方向の悪循環」を作り出す

ここが最も重要なポイントです。膝の関節が不安定になると、それを支えるために鵞足部の筋肉に負担がかかり痛みが出やすくなります。すると今度はその痛みをかばうために「不自然な歩き方」になり、それがさらに膝の関節に無理な負担をかけることになります。それなよりさらに変形や機能低下を早めてしまうという「負のループ」が存在するのです。

3. 「鵞足の痛み」は転倒のサインかもしれない

研究では鵞足に痛みがある人は痛みがない人に比べて、その後2年間で転倒するリスクが高まることが示されました。特にこれまで一度も転んだことがない方や、女性の方においてその傾向が顕著にみられます。鵞足の痛みは「転倒しやすさ」の早期の目印になる可能性があると述べられています。

4. 痛みをかばう動作が、さらなる筋肉の低下を招く

膝が痛むとどうしても動くのが怖くなり、活動量が減ってしまいます。その結果、膝を支えるための太ももの筋力(大腿四頭筋など)が落ちてしまい、ますます膝の安定性が失われてしまいます。

「つまり、どういうこと?」日常生活への影響

この論文の内容を日常生活に当てはめると**「膝の痛みは、早めに適切な対処をすることで、将来の大きなケガ(転倒や骨折)を防ぐ鍵になる」**ということです。

鵞足の痛みがあると、無意識のうちに膝の内側に体重がかからないような歩き方をします。この「かばう動作」は短期的には痛みを避けるための体の知恵ですが、長く続くと股関節や足首のバランスまで崩してしまいます。

「ただの筋肉の痛みかな?」と見過ごさず、膝の関節とそれを支える周りの組織の両方をケアすることが、スムーズな歩行を維持するためにはとても大切になります。

まとめと未来へのステップ

膝の痛みと上手に付き合い、毎日を元気に過ごすために、以下のことを意識してみませんか?

  • 専門家に相談しましょう: 膝の関節裂隙(骨と骨の隙間)ではなく、その2cmほど下の内側を押して痛みがある場合は、鵞足の痛みの可能性があります。専門家に現在の膝の状態を確認してもらうことが第一歩です。
  • 「かばう歩き」を修正しましょう: 痛みを避けるための歩き癖は、自分では気づきにくいものです。正しい歩行バランスを整えるためのアドバイスを受け、関節への負担を減らしましょう。
  • 無理のない筋力トレーニングを: 痛みが落ち着いている時期に、膝を支える筋肉を鍛えることで、関節へのストレスを軽減できます。椅子に座った状態で膝を伸ばす運動など、負担の少ない方法から始めるのがおすすめです。
  • 靴選びも大切に: 足元を安定させるために、クッション性の高いソフトな靴を選ぶことも、歩行時の衝撃を和らげる助けになります。

膝の痛みは「もう治らないもの」ではなく、「これからどうケアしていくか」のサインです。早めのケアで悪循環を断ち切り、いつまでも自分の足で歩ける喜びを守っていきましょう。

出典: Wang F, et al. “The association between anserine bursa pain and fall susceptibility: a prospective analysis of the osteoarthritis initiative.” Frontiers in Aging, 2025.

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