O脚など膝の”ゆがみ(アライメント)”と、変形性膝関節症の変形進行リスクの関係について

その膝の痛み、「ゆがみや捻じれ」が関係しているかもしれません

「立ち上がるときに膝が”ガクッ”とする」
「階段を降りるとき、片方の膝だけ痛い」
そんなお悩みはありませんか?

実はこうした症状の根本にあるのが、O脚など”膝のゆがみや捻じれ”=アライメントの崩れです。
近年の研究では、この「膝のアライメント」が変形性膝関節症の進行や、日常生活の動作能力に影響することが報告されています。

今回は、「膝のゆがみ」と「関節の健康」の関係について、わかりやすく解説します。

膝のアライメントって何?

「アライメント」とは、膝・太もも・ふくらはぎがどれくらいまっすぐに並んでいるかを表す言葉です。

アライメント正常: 太ももからすねまでが一直線に近い

アライメント異常:

O脚(内反): 下肢が捻じれて膝が外側に開いて、膝の内側に負担がかかる

X脚(外反): 下肢が捻じれて膝が内側に入り、膝の外側に負担がかかる

鏡の前で立ってみたとき、膝同士の間が開いている場合はO脚、くっつきすぎている場合はX脚の傾向があります。
一見小さな差のように見えても、長い年月の中で関節への負担に差が出てくると考えられています。

研究でわかった「膝のゆがみ」と変形の関係

米国医学誌「The Journal of the American Medical Association(略称: JAMA)に掲載された研究では、年齢・性別・体格(BMI)などを考慮したうえでも、膝のアライメントが変形性膝関節症の進行に関係することが示されました。

主なポイントは次のとおりです:

  • O脚(内反)の方は、 膝の内側の変形進行リスクが約4倍
  • X脚(外反)の方は、 膝の外側の変形進行リスクが約5倍
  • 両膝に5°以上のゆがみを持つ人は、 18か月後に椅子から立ち上がる回数が減少(機能低下)する傾向

このように、「膝がどの方向にどれくらい傾いているか」が、関節変形の進行スピードや動作のしやすさに影響することが明らかになっています。

なぜ「ゆがみ」が影響するの?

膝は歩く・立つ・しゃがむといった動作で常に体重を支えています。
その荷重のかかり方がゆがみによって偏ると、ある一方の関節面にばかり負担がかかるようになります。

たとえばO脚では、膝の内側に過剰な圧力が集中し、軟骨や骨にストレスがかかりやすくなります。
これが長年続くことで、軟骨がすり減りやすくなり、変形が進むと考えられています。

日常生活で意識したいこと

膝のゆがみがあるからといって、必ず進行するわけではありません。
日常生活で次のような工夫をすることで、膝への負担を軽減できる場合があります。

  •  階段の上り下りで痛みが出るときは無理をせず、早めに専門家に相談を
  •  片脚に体重をかけすぎない姿勢を意識する
  •  太もも(大腿四頭筋)やお尻(中殿筋)の筋力を保つ
  •  正座や深いしゃがみ込みを長時間続けない

これらはあくまで一般的な注意点であり、痛みや変形の程度によって対応は異なります。
強い痛みや腫れ、強い変形が見られる場合は、まずは医療機関で画像撮影を受けて、程度や状態を知ることも重要です。

まとめ

  • O脚などの膝の”ゆがみ(アライメント)”は、変形性膝関節症の進行や機能低下に関係している
  • ゆがみの方向(O脚・X脚)によって、負担がかかる部位が異なる
  • 早めに自分の膝の状態を知り、専門家に相談することが大切

 

参考文献

Sharma L, et al. The Role of Knee Alignment in Disease Progression and Functional Decline in Knee Osteoarthritis. JAMA Network. July 11, 2001

https://sasazuka-megumi.com/post-5570/

めぐみ整骨院